出川哲朗氏がマリエ氏を名誉毀損罪で告訴したらどうなるか(園田寿) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 出川哲朗氏がマリエ氏を名誉毀損罪で告訴したらどうなるか(園田寿) - Yahoo!ニュース Yahoo!ニュース (出典:Yahoo!ニュース) |
マリエ(1987年6月20日 - )は、日本のファッションモデル、タレント、デザイナー。 身長170cm、スリーサイズ84・60・86cm。 父がフランス系カナダ人で母が日本人のハーフ。国籍はカナダ。 1987年6月20日 - 3人姉妹の末っ子として生まれる。父はフランスの自動車用オイル輸入代理店 19キロバイト (2,012 語) - 2021年4月18日 (日) 00:43 |
批判された出川哲郎さんは、事実を否定していますが仕事に影響が出たことには間違いなさそうです
今回の件で、出川哲郎さんがマリエさんを名誉棄損で告訴することができるのでしょうか?
また、告訴して損害賠償請求した場合にはどれくらいの金額になるのでしょうか?
出川哲朗氏がマリエ氏を名誉毀損罪で告訴したらどうなるか
園田寿 | 甲南大学名誉教授、弁護士
■はじめに
事の発端は、ファッションモデルであるマリエ氏が4月4日にインスタグラムで行った告白です。
告白の内容は、彼女が15年前にある番組に出た際に、司会の元お笑いタレントS氏から「枕営業」(性的関係を結ぶことによって仕事を有利にしようとする営業方法のこと)に応じるように誘われ、そのときに周りにいたお笑いタレントの出川哲郎氏らがそれを止めるどころか逆に勧めるような言動を行ったというものです。
彼女がそれをきっぱりと断ると、S氏が司会を努めていた人気番組を降板させられたということです。マリエ氏は、今でも彼らを許すことができないし、同じ思いをする女性が出てほしくないと訴えています。
報道によると、出川氏やS氏はこの事実を否定しているということですが、そうならば出川氏がマリエ氏を名誉毀損で訴えることもありえないことではなく、そうなった場合にこれが法的にどうなるのかを考えてみたいと思います。
なお、法的に訴える場合、損害賠償や謝罪広告などを求める民事裁判と、警察や検察に処罰を求める刑事裁判とがありますが、判断の枠組みは基本的に同じですので、以下では刑事裁判を念頭において説明します。
■法的な判断の枠組み
まず、マリエ氏の発言が名誉毀損罪に該当するのかが問題です。
名誉毀損罪は刑法230条1項で次のように規定されていいます。
第230条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
成立の要件は、(1)公然と、(2)事実を示して、(3)人の名誉を毀損すること、です。その事実が真実かどうかは、(とりあえず)問題ではありません。
具体的に見ていきます。
(1) 「公然」というのは、「不特定または多数」の意味です。
つまり、不特定の人が対象ならば一人でも「公然」ですし、特定の人が対象であっても多数(だいたい数人以上)ならば「公然」です(たとえば家族の団らんの場のような場合が非公然の典型です)。
マリエ氏の場合は、インスタグラムという不特定の人が見ることのできる場で発言していますので、「公然性」は肯定されます。
(2) 次に、「事実の摘示」とは、「(名誉の低下につながるような)具体的な事実を示して」という意味です。
マリエ氏の場合は、出川氏がS氏の枕営業の誘いを止めるどころかそれを勧めたという、いわばセクハラ行為を行ったという主張ですので、具体的な事実を示していることになります。
(3) 「人の名誉を毀損した」とは、「人の社会的な地位や評価を低下させた」ということです。
セクハラは社会問題となっており、具体的にセクハラ行為を行ったということは、その人の社会的評価に強く影響しますので、名誉が傷ついたといえます(実際に、出川氏はTV出演が激減したという報道もありました)。
以上から、マリエ氏の発言は、刑法230条1項に該当する名誉毀損行為だということになります。
しかし、刑法230条1項に該当すればただちに処罰されるのかといえばそうではありません。
マリエ氏は枕営業という反倫理的で不当な慣習を告発する意志で上記のような発言を行っていると思われますので、このような発言を行うことはむしろ正しいのではないかという考えが出てきます。
このような観点から人の名誉の保護と表現の自由の関係を規律するのが、次の刑法230条の2第1項の条文です。
第230条の2 前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専(もっぱ)ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
■刑法230条の2第1項による抗弁
刑法230条1項は、名誉毀損行為があった場合、その事実があろうとなかろうと処罰するという、表現行為にたいへん厳しい内容になっていて、真実を述べて世の中の間違いを正す行為も処罰の対象としています。これは、明治8年の「讒謗律(ざんぼうりつ)」という法律に由来します。
讒謗律第1条 「凡ソ事実ノ有無ヲ論セス人ノ栄誉ヲ害スヘキノ行事ヲ摘発公布スル者之ヲ讒毀(ざんき)トス。〈以下略〉」(口語訳=およそ事実の有無を問わず人の名誉を害する事実を公表するものを讒毀とする。)
注:讒謗律の「讒」とは、かげ口を言って人を陥れること。難しい字ですね。
https://news.yahoo.co.jp/byline/sonodahisashi/20210417-00233206/
>>2以降に続く
(出典 livedoor.sp.blogimg.jp)